まずは息子のことから。
彼は現在20代前半、重度の知的障害を併せ持つ自閉症スペクトラム障害。
どのくらい重度かというと、知的の特別支援学校(入学当時は養護学校)で、小中高12年間すべて「重度重複学級」に在籍する程度。
身辺自立もなかなか進まず、おむつが取れたのが小3、食事はまだ手を使うし、手洗いも自分では手を濡らすだけ、お風呂で体も髪も自分では洗えない。
言語は未だに1~2語文。
感覚過敏があり、帽子はCapではなくHatでないとだめ。プールキャップや調理帽も載せるのがやっと。手を洗う時に袖をまくっていられない。衣替えもなかなかできない。
ここまで書いてお分かりいただけると思うが、このご時世でもちろんマスクは出来ず、手を洗うのも都度大人が介助する必要があり、毎日はらはらしながら過ごしてる。
今は平日をグループホーム(以下、GH)で過ごし、週末帰ってきて、日曜の夕方またGHへ戻っていく。
GHには20歳を過ぎて割と早いうちに入所したが、もちろん家人には反対され。
それまでの、毎日9時に出て16時前に帰ってくるその送迎時間に常に縛られ、通所している間にも施設の家族会だの個別相談だの役員だのもやらねばならず、その合間に家事も仕事もして…。
それをやってもいない家人にとやかく言われる筋合いはないと、最終的には押し切って入所させた。
納得できないなら、全部自分でやれってんだ。
ちょうどそのころ母の状態が良くなかったことも、押し切れた理由だけど。
息子はもちろん様々なこだわりがあり、例えばタンスの中から服をすべて出してきて全部水で濡らしてタンスに戻したり、洗濯して乾いた服もまた濡らし…と、水と服へのこだわりが一番強いかも。
他にも、室内でパーカー類(フードの付いたもの)は着られない(室外着だという主張)、靴下は丈が長いものは履けない、シャツの一番上のボタンは留めたくない、帰宅後は衣服を全部脱ぐなど、感覚過敏に起因していると思われることも多い。
また、幼少の頃は偏食が激しかったが、今は割と何でも食べる代わりに果物は食べない。
ケーキに載ってたりゼリーに入ってたりするのは食べられるのに。
食べることに関していえば、目の前に出されたものは無くならないと気が済まないから、空腹か否かにかかわらず出されたものはとにかくおなかに流し込む。
飲み物も一気飲み。
息子はこちらからSaveしてあげないと、出されたらこだわりで食べてるだけなのに、「食べ盛りだから」「食べたがるから」など訳の分からないことを言って。
挙句の果てに、私が居合わせているときに止めさせると「お母さんに怒られるから止めよっか」などという始末。
義両親は自分の子供(=家人)もそうやって好き勝手やらせて育てたんだな、と最近つくづく思う。
GHや施設ではもちろんそういうこともないので、(週末そんな過ごし方をしてしまうから)とにかく体を動かしてもらい、食事はゆっくり摂るよう促してもらっている。
他にも挙げきれないほどこだわりはあるけど、麻痺してしまってどれがそうなのかわからなくなってる。
うまく付き合えているということなのだろうか。
小さい頃は私も本当に必死で、なぜ言葉が出ないんだろう、なぜ指差ししないんだろうと毎日悩み、診断確定したときには絶望し、泣き暮らし、娘の居る大きなおなかで何度も転んだほど。
息子の障害を受け入れるまで、半年かかったかな。
今でこそ健常の息子を想像することもなくなったけど、「私のところに生まれてきてくれてありがとう」なんて思ったことは一度もないし、「(障害のある子は)親を選んで生まれてくる」なんて言われると、釈然としない思いでいっぱいになる。
みな大変でも子供としっかり向き合って歩んでる人が大半な中、私は息子と過ごす時間を少しでも短くしようという心理が常に働いてしまって、そんな自分を責めて…
でももしかしたら、私みたいな方ほかにも居るのでは?
みんながみんな、頑張れるわけじゃない。
食事も摂らせ身ぎれいにし、きちんと施設や学校にも通わせて、決してネグレストなんかではないけど、子供と少しでも離れる時間が欲しいと思ってしまう…それって危険な思考なんだろうか。
多分こうした感情がもっと極端になっていくことで虐待などにつながっていくのかも、という危うさは感じるけど、だからこそ離れる時間をきちんと確保して、互いに煮詰まらないようにする工夫も必要。
この年で入所させるのはまだ少数派で、今でも罪悪感にさいなまれることがあるけど、私には必要なことだったと思っているし、この子たちは人の助けを借りないと生きていけないのだから、小さいころから色々な人に関わってもらいながら、親以外の人と暮らしていけるようにすることは、実はすごく大事なんじゃないかと思う。
もし、私と同じように子供と少しでも離れる時間が欲しいと思っている人は、それを否定せずに社会資源を活用して、不幸なことに決して陥らないよう適正な距離を保つことを強く勧めたい。
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