医師に生育歴や日常生活状況をいかに伝えるか…それが大変重要です。
私の場合は前述の通り、診断書を依頼するときに、事前に書いた「病歴・就労状況等申立書」の写しを医師に渡しました。
でも、それには事前に生育歴をまとめておく必要があります。
役所からは
「経過はたくさん書いても読み切れないので簡潔に書いてください。」
と言われました。
確かにたくさんの件数があれば、細かく書かれたものを丁寧に読むのは難しいと思います。
でも、あまりに簡単だと(役所の記入例にある例文は、進学先程度しか書いていなかった)、本来の姿が伝わらない気がします。
ここで問われているのはあくまでも「経過」であり、「履歴」ではないので、その当時のことを少し加筆しました。
例えば、出生から初診時までの経過は、
「生まれてから断乳までまとめて2時間寝なかった」
「偏食が激しかった」
などと、当時の象徴的な事象を簡潔に書いておきました。
それを読んで医師は、診断書に「出生時から睡眠障害を認める」と記載していました。
要するに、「病歴・就労状況等申立書」という形でなくても、成育歴や当時のエピソードをまとめて医師に渡しておくことで、医師の見地による当時の状態を診断書に記載してもらえるのです。
逆に、これがなかったら、うちの場合は「睡眠障害」という事実を認めてもらえなかったかもしれません。
20歳までまだまだ時間があると思っている方も、今からその時その時の特徴をまとめておくことで、いざ「病歴・就労状況等申立書」を記入する際も慌てずに済みます。
今は大変でも、過ぎてしまうと忘れてしまうことって少なくありません。
私もそうです。
当時ものすごく大変な思いをしたっていう記憶はあっても、具体的に何がどう大変だったのか、あまり思い出せないのです。
人間は忘れるようにできているので…。
そんなことがないように、簡単で良いのでちょっとメモを取っておきましょう。
参考までに、東京都手をつなぐ親の会で発行している「東京生活支援ノート つなぐ」というものがあります。
これは、幼少の頃から医療・療育・教育等利用した機関を記録することで、連携を図ったり、いずれ支援が必要になった時のために成育歴や発達の記録などを残したりしていくもので、母子手帳の生涯通じたもののようなイメージです。
ここに記入することで、現状を少し冷静に見ることができたり、成長を実感できたりすると思います。医療機関等にかかる時にも役立ちます。
年金受給の申請は、一つの通過点でしかありません。
そのために「つなぐ」を利用するということよりも、
むしろもっと長い目でこの子達の生涯をとらえていくために、
少しずつ書き込んでいくと良いのではないでしょうか。
そして、もう一つ大事なこと。
障害児を育てていく過程で、出来ることを増やすことはとても大事なことです。
そして、少しでもできるようになると、それはそれはうれしいことです。
でも、年金申請で問われる「できる」「できない」については、少し切り離して考えてください。
それは、「成人して一人で社会生活を送れるかどうか」という観点で定められているからです。
自分で「配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることができる」というのが条件です。
「出されればいくらでも食べる」とか、
極端なことを言えば
「○○しか食べず他のものは一切口にしない」などという状態だと、
「できる」にはなりません。
例えば「着替え」の場合は、単に服を着られるということだけではなく、
一人で社会生活を送ることを想定し、
「季節に合わせた服装を自分で選び、TPOをわきまえてきちんと着られる」
というのが条件になります。
条件付きで「(○○すれば、○○なら)できる」は、「できない」なのです。
なぜそんなに強調するかというと、身近な方で重度のお子さんの申請をした際、この乖離があったために1級が取れず、不服申し立て、再審査請求の裁決と大変な道のりを辿った事例があったからです。
追記:子供本人名義の口座は、未成年のうちにゆうちょと都銀それぞれに作っておきましょう。
成人してからだと手続きが非常に煩雑になり、大変だそうです。
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